Y'sピア箕面船場 Before After
製造部門が次々と中国へ移転し、斜陽著しい繊維産業のまち箕面船場。
ほとんどが自社の倉庫や作業場用に作られたこのビルも、
構造や外観が良くても中身を見たとたん誰もが逃げ出す有様で
我々と出会うまで、買い手を捜す新聞広告を何度も打ち、
また値段を下げながら、長い年月を費やしていた。
Befor

美麗だが1階エントランスが閉鎖的な雰囲気。
購入前は、一番前にお稲荷さんが有った。(お祓いして遷座)
自社ビル用のため、賃貸には間取りが悪く、賃貸可能面積は56%。
内装も2階のみ事務所仕様で、3階4階は作業場。5階6階7階8階は倉庫仕様となっていた。(5階以上は内カベも天井も無いコンクリート打ちっぱなし。7階8階にはトイレ、流しすら無かった。)
警備会社は入っていたが、火災報知を含め、全入居者が退館後警備セットしてから機能する状態。
貯水槽の水質検査など長期間不実施。
非常階段や共用通路に入居者の荷物が詰まっている状態。

船場繊維卸商団地内にあって、中国へ機能移転や、企業撤退、廃業で沈滞ムードである一方、その空き地に高層マンションや巨大パチンコ店などができつつあった。(しかしそれらは北摂の好環境ゆえの進出ではあるが、これだけ繊維業が集積するビル街を考えれば、もっとファッション性の高い活用が望まれると当社では感じていた。)
 

After (continue)

<外観>
塀を低くカットし開放的に。緑を見せる。
夜間は外灯をつけ明るく。緑も庭園灯や明滅照明をつけ明るく楽しく。
テナント名集合看板を設置し、テナント複合ビルらしく。
テナント用ポストも新設(1個→10個→16個)。
前面に駐車場を整備し利便性UP。
ビル名称を、テナントビルらしい名称に変更し、搭屋看板を明るいものに付け替え。
外部緑地に季節の花を。


<内部>
2階にエレベーターロビーを整備。
エントランスロビー〜2階までの階段を照明増強して明るく。(店舗・事務所向け雰囲気向上)
荷物用エレベータを客用にも使えるよう整備。
トラックターミナル(荷捌室)整理。大窓からトラック見えぬよう整備。
トイレ無しフロアにトイレ整備。(7階、8階)
流しも整備(4階、5階、6階)(7階8階はテナント内に流しができた)
80坪のスペースを40坪ずつに間仕切り。非常照明・誘導等の新設(5階、6階終了。7階は80坪のまま)
倉庫仕様から事務所・アトリエへの用途変更に伴い内装、照明増強、エアコン新設。
共用部(EV前ホール)をおしゃれに整備。(5階、6階、7階)


<機能向上>
水質、消防など各種定期点検実施。
火災監視や水道など設備監視は24時間に。
自動警備(不在時の侵入監視)を導入。不在フロアにはエレベーターが停まらぬ「フロアカットシステム」導入。正面自動ドア、エントランス照明も自動警備に連動。
光ファイバー通信(100Mbps)導入。
電力需要増大に伴い、高圧受電設備(キュービクル)増強(トランス増強)。


<展望>
前の通りは、至近に有名なMother Moon CafeとMaxwell cafeが向かい合わせにあり、明るさがある。num(ニューム)や小売店もあり、"卸商団地"にあって「開放度」が高い。また東端は放送スタジオのパラボラアンテナが、西端はかやの新都心を見下ろせる貯水緑地があり、中央に聳え立つ当館を含めランドマークが多く、歩いて楽しいシンボルロード的雰囲気があります。
(路上駐車許可道路(1時間迄))
この、船場東一丁目の通りから、箕面船場が注目されだす予感がします。
コンクリート打ちっ放しの魅力を活かした共用部の改装や、専有室内を予め整備せず、デザイン性の高いオフィスに自分で整備してもらうことで、無駄を排除。また自分で内装を整備できないテナントへも独自の手法で初期費用を少なく抑えた。 家主はトイレ・洗面、建物全体のセキュリティの向上や光ファイバーなど共用設備の向上に専念することで資金効率良く付加価値を向上。
他のビルより付加価値を上げつつ、保証金、家賃を低く抑えたことで、あるテナントの為に整備することが別のテナントの新たな入居に繋がるという好循環を産み出した。 占有室の整備を入居者に任せつつ補助するのは少ない資金で築90年の長屋を再生したまちづくり活動の手法を応用したもの。
この手法は新聞などで紹介され、2005年福岡で開催された「ビル経営サミット」で当社社長がパネリストとして報告。

さらには、企業街としては昔の船場をめざし、まちの欠けているものとして旦那衆や労働者の憩いの場を、
まちのコンセプトとしては「洗練された生活をつくるファッションのまち」を提案している。

Y'sピア箕面船場
施主・企画・監理 山根エンタープライズ株式会社